株式会社フライヤーでは、参加者同士で書籍と対話で「気づき」を引き出し、自ら問いを立てる力を養うための法人向け越境型研修『越境マネジメントプログラム』を開講いたします。

今回、研修の開講を記念して、「本と対話で『気づき』を引き出す人材育成アプローチ」をテーマにセミナーを開催いたしました。ゲストスピーカーは、20年以上大学や企業研修などでリーダー育成に携わっている荒木博行さんと、『無敗営業』シリーズ著者であり数々の企業でアドバイザーや講師をしてきた高橋浩一さん。今回の研修の講師としてもご登壇いただきます。

研修ご担当者様を中心に100名以上の方にお申し込みいただいた大注目のセミナーとなっております。新しい研修プログラムを検討している人事担当の方や、事業部の研修を検討中の方におすすめです。ぜひご覧ください!


【スピーカー】

株式会社学びデザイン代表取締役    荒木博行氏
TORiX株式会社代表取締役    高橋浩一氏

▼越境マネジメントプログラムとは

リーダーに最も重要な力とは?

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高橋浩一氏(以下、高橋):本日はリーダーやマネージャー育成に関わっている方や、ご自身がリーダーやマネージャーになりたい方の参加が多いと思うのですが、他者に影響を与える立場の仕事をするようになると、問いを立てる力がすごく大事になってくると思います。

コロナ禍の時に大企業の役員の方々とお話する機会が何回かあったのですが、皆さん「誰にも言えないけど、正直どうしたらいいかわからない」とおっしゃっていたのがすごく印象的でした。そもそもどう考えたらいいかわからない状況に立たされた時に、「問いを立てる力」が試されると思います。

荒木博行氏(以下、荒木):そうですね。私は本に携わる仕事を長くやっていますが、読書は問いを立てる良いトレーニングだと常々思っています。読書をしていても、「すごかった」「面白かった」という感想で終わってしまって問いが立たないことって結構ありますよね。どんな本であっても色々な問いを立てることができるので、問いを自ら立てる意識を持つことが大事だと思います。

高橋:問いを立てる力をどこで引き上げるかとなった時に、なかなかそういう場ってないですよね。本は考え抜かれた内容が一冊に詰まっているので、その本を手段にするのが今回のプログラムの新しいポイントだと感じます。

どうやって「問いを立てる力」を高めるか?

荒木:私は問いの方向性は4つあると思っていて、まずはWhatの問い。本の中のこの一節は何を言っているのだろうかをちゃんと理解する。次にWhyの問い。なぜ著者はこの一節を言ったのだろう、背景は何だろうという問いですね。それからWhereの問い。この一節の適用範囲は一体どこからどこまでなのか。そして最後はHowの問い。この一節が正しいとして、どう実践していけばいいのか。こんな風に単に本を読むだけではなくて、どういう問いをどこに立てていくのかを研修ではやっていきます。

このWhat・Why・Where・Howの4つの問いの中で、参加者の方から1番多く出てくる問いは何だと思いますか?

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高橋:4つ目のHowの問いが多そうだと感じますね。

荒木:おっしゃる通り圧倒的にHowの問いが多いんです。もちろんこれは大事な問いなのですが、この本やこの一節が何を言おうとしているのかをあまり理解せずに、Howの問いに急いでしまっているケースも結構あって。やっぱりせっかく本という知恵の宝庫があるんだったら、まずは本そのものと向き合って理解することが重要だと思っています。

高橋:そうですよね。What・Why・Whereの問いを出せるタイプと出せないタイプは分かれるだろうなと思います。

荒木:そうなんです。仕事で言うと、例えばメンバーに対して何かをやろうと言った時に、どういう風にやるかというHowの問いを立てて実践してもらうのが1番スムーズではありますよね。でも言ったことに対して、「この言葉って何を意味しているんですか?」「なぜこの文脈でこの言葉を使ったんですか?」という問いを立てられることによって思考が深まる場合もありますよね。

高橋:そうですね。例えばメンバーが全員ただ実行するだけの人だったら、何かをやろうとした時にリーダーの考えによって天井が決まってしまうんですよね。でもそのメンバーの中にちゃんと考えて実行する人を増やしていくと、もっと大きな仕事ができると思います。

今回は「対話」にも焦点を当てているのですが、参加者、私や荒木さんというモデレーターとの対話の他に著者や自分との対話があると思います。著者との対話に目が向くと、What・Why・Whereの問いが出てくる。さらに自分との対話となると、What・Why・Where・Howの問いがぐるぐる回るはずなんですよね。でも著者や自分との対話って、じっくりと考える環境を作らないとなかなかできないですよね。

荒木:そうですね。今回のプログラムは2時間の研修時間だけではなく、インターバル期間にそれぞれ一人で読書をしていただくんですが、その時間がまさに著者や自分との対話になりますね。

マネージャーの仕事はどうやって学ぶのか?

高橋:新しくリーダーやマネージャーになった時に、「教わったことがない」「そもそもどうやったらいいかわからない」という悩みって結構多いですよね。社会人1〜3年目の時は先輩や上司が教えてくれますが、マネージャーの仕事を教えられる人ってすごく少ないんですよ。やっぱりリーダーやマネジメントの領域だと、ちゃんと良い本を選んで内容をしっかり読み解くのがすごく良いと思います。ただ、一人で読書をして内容を理解するだけだと、実際の仕事で使う次元に持っていくのは厳しいと思うので、今回のように同じ志を持った人たちと一緒にやるのが大事だと思います。

荒木:実際にプログラムでどんな本を使うのか、というところなのですが、まず若手リーダー向けの「リーダーシップ発見コース」から。DAY1のテーマ書籍は『リーダーシップの旅 』になります。これは非常に名著で、リーダーとは何かを示してくれる本なのですが、高橋さんはこの本に何か思い入れはありますか?

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高橋:この本の中に「すごいリーダーと言えばどんな人を思い浮かべますか?」という問いがあるんです。歴史上の偉人やスポーツチームの監督などを思い浮かべる方が多いと思うのですが、現実とかけ離れてしまいますよね。たまに自分の上司の名前をあげる方もいらっしゃるんですが、実際の職場で感じていることなのでリアルですよね。その方がなぜその上司の名前をあげたかにすごく学びのエッセンスが詰まっていると思います。リーダーと言われて現実感が沸かない方にこそ読んでいただくと、すごく発見が大きい本だと思いますね。

荒木:そうですね。DAY2は『マネージャーの全仕事』なのですが、この本はリーダーやマネージャーがどの範囲まで見ないといけないのか、タスクリストのようなものが書かれています。DAY1がリーダーへの誘いであるとすれば、DAY2は全体像や地図をちゃんと作るという位置付けですね。

高橋:フラットに全体像を学べる本ですよね。特に最近の管理職の方って、一つひとつの発言やハラスメント関連など気をつけないといけないことが多いと思います。フェアな振る舞いをするためにはどういう考え方をするべきかがすごくわかりやすく書いてあると思います。

荒木:そして最後が『THE CULTURE CODE』ですね。この本には「リーダーの日常行動が組織の文化を作っていく」、という内容が書かれているので、自分の行動と照らし合わせてどういうことをやったらいいかに気づける、そんな1冊じゃないかなと思っています。

高橋:自分の解釈だと一言で「化学反応」についてしっかり書かれている本だなと思います。マシュマロとパスタで高い塔を作るマシュマロチャレンジで、幼稚園生のチームが優秀な大学生のチームより高く作ることができたという話が冒頭に書かれているんですが、すごく興味深いですよね。実際の仕事現場に照らし合わせると、「自分の会社は無駄が多い」と感じる場面って結構多いと思うんですが、それって一言で言うと上手く噛み合ってないんですよ。じゃあ噛み合っていないってどういうこと?という点について、入り込んで読める話がたくさん書いてある本だと思います。

荒木:今お話したような内容を本や仲間、自分からも学び、DAY4は今後どうするか、皆さんなりのリーダーとして決意を語っていただく流れになっております。

そしてもう一つが「リーダーシップ探求コース」。すでにリーダーという役職についている方向けのコースになっています。DAY1のテーマ書籍は『ビジョナリー・カンパニー2』なのですが、実際にリーダーをやっている人にとって生きた知恵が書かれているんじゃないかと思います。

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高橋:会社の中で仕事をしていると、上司と部下に挟まれる中間管理職的な目線ってあると思うんですね。そんな中で会社を俯瞰して見る目線を養うのに、やっぱり『ビジョナリー・カンパニー』シリーズはすごく良い本だと思います。

荒木:そうですね。DAY2は『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』という、インテルの創業者アンドリュー・グローブが書いた本を取り上げております。彼はマネジメントの本質はテコの原理にあると言っているんですね。マネジメントをやっていると、自分の得意領域ばかり気にかけてしまう人って結構多いんですが、組織のアウトプットを最大限高めるために、どのテコを動かすのが1番良いのかを考えるべきだというアドバイスをもらえる本ですね。

そして最後が、『イノベーション・オブ・ライフ』。マネジメントセオリーを人生訓に当てはめるとどうなるのかという内容で、僕の大好きな一冊です。DAY4は自分がこれからどうしていきたいかを発表する場でもあるので、それを考えるにはぴったりの題材だなと思ってこの本を選んでおります。

高橋:よくリーダーシップやマネジメントの文脈で人間力という言葉が出てくると思うんですが、まさしくこの本は人間力を磨きこむ上でとても良い教材だと思っています。本の中に仕事ばかりに打ち込んで人生における他の側面がつい疎かになってしまった人たちの例が出てくるのですが、すごく身につまされます。なるべく早いうちにこういう本を読んでおくべきだと思いますね。

荒木:ありがとうございます。冒頭でもお話しましたが、今回のプログラムは本を読んで感想を語り合う、単なる読書会ではないというのがポイントです。確かにどの本の著者も良いことを言っているけれども、この本で言っていることはそもそも何だ?、なぜこんなことを言っているのか?という、本に向き合って問いを立てることをしっかりやりつつ、じゃあ今生きる私たちはどう実践していけばいいのか、ということを話していく場になります。

私たちも参加者の方との対話を通じて問いに対する感度を高めていきながら、皆さんがリーダーやマネージャーとしてこれからどうやっていくのかを自分の言葉で語れる状態になれるように伴走できればと思いますので、少しでもご興味がある方はお越しいただければと思います。最後に高橋さんから、どんな方に来てほしいかお伝えいただけますでしょうか。

高橋:今日は問いの重要性についてお話しましたが、そこに共感いただけた方は一緒に良い場が作れるだろうなと思っています。ご自身やご自身の会社にとってまさに今必要だと感じられた方と一緒に学べればと思っています。

▼セミナー全編はこちらから
https://youtu.be/FA5kfu-t_9M

▼越境マネジメントプログラムとは


荒木博行(あらき ひろゆき)
株式会社学びデザイン代表取締役

住友商事、グロービス(経営大学院副研究科長)を経て、株式会社学びデザインを設立。フライヤーなどスタートアップのアドバイザーとして関わる他、武蔵野大学、金沢工業大学大学院、グロービス経営大学院などで教員活動も行う。北海道にある株式会社COASや一般社団法人うらほろ樂舎にも関わり、学びの事業化を通じた地方創生にも関与する。

著書に『独学の地図』(東洋経済新報社)、『自分の頭で考える読書』(日本実業出版社)、『藁を手に旅に出よう』(文藝春秋)、『見るだけでわかる! ビジネス書図鑑』、シリーズ(ディスカヴァー・トゥウェンティワン)、『世界「倒産」図鑑』『世界「失敗」製品図鑑』など多数。
Voicy「荒木博行のbook cafe」、Podcast「超相対性理論」のパーソナリティ。


高橋浩一(たかはし こういち)
TORiX株式会社 代表取締役

東京大学経済学部卒業。外資系戦略コンサルティング会社を経て25歳で起業、企業研修のアルー株式会社に創業参画(取締役副社長)。事業と組織を統括する立場として、創業から6年で70名までの成長を牽引。同社の上場に向けた事業基盤と組織体制を作る。
2011年にTORiX株式会社を設立し、代表取締役に就任。これまで4万人以上の営業強化支援に携わる。
コンペ8年間無敗の経験を基に、2019年『無敗営業』、2020年に続編となる『無敗営業 チーム戦略』(ともに日経BP)を出版 、シリーズ累計9万部突破。2021年『なぜか声がかかる人の習慣』(日本経済新聞出版)、『気持ちよく人を動かす』(クロスメディア・パブリッシング)、2022年『質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか? 』(KADOKAWA)、2023年『「口ベタ」でもなぜか伝わる 東大の話し方』(ダイヤモンド社)を出版。
2万人調査の分析に基づき、2024年4月に発売された新刊『営業の科学』(かんき出版)は、3万部を超える反響を得ている。
2024年4月から東京学芸大学の客員准教授も務め、「”教育”と”営業”の交差点」を探究している。また、東京都内で「人生のヒントが見つかる」をコンセプトにしたリアル書店も経営。


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