フライヤーが主催するオンラインコミュニティflier book laboでは、さまざまな会員限定サービスを提供しています。その魅力をちょっとだけ体験していただける無料のランチタイムセッションが、2024年8月16日に開催されました。

ゲストスピーカーは、オンライン講座「flier book camp」で講師を務めてくださる荒木博行さんです。荒木博行さんが9月より担当する講座は、題して「対話の中で学びを生みだす ファシリテーション講座 」 。

今回のセッションでは、株式会社フライヤーで「flier book camp」企画運営を担当する久保彩のファシリテーションで、プログラムの内容を先取りしてご紹介いただきました!


【スピーカー】

株式会社学びデザイン代表取締役 荒木博行氏
株式会社フライヤー 執行役員CCO    久保彩 氏

セミナーでご紹介した9月開講の実践講座の詳細・申込みはこちら

※募集〆切:8/25(日)

ファシリテーションにおいてまず最初に心がけることとは?

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久保彩氏(以下、久保)本日のテーマは「対話の中で学びを生みだす ファシリテーションの技術」ですが、今まで講座やイベントなどで荒木さんとご一緒させていただいたり、voicyの対談を聞いたりする中で感じるのは、荒木さんがいるとお話の輪郭がすごく際立って、特徴的なところや自分に活かせるポイントがわかりやすく伝わるなと感じます。そこはやはり意識されていることなのでしょうか?

荒木博行氏(以下、荒木):そうですね。ファシリテーションは長らくやっていることなのでほぼ無意識ですが、今回の講座では普段私が無意識でやっていることを言語化してお伝えできればと思っています。無意識化できるようになると、対話の中でできることがどんどん増えてくるんですよ。対話はスポーツと一緒で瞬間芸なので、色々と考えていると何もできなくなります。だから事前にどれだけ無意識化できるかが鍵です。

久保:無意識化するために、意識的にポイントを抑えるトレーニングを今回の講座でやっていくんですね。今回3年ぶりに開講いただけることになりましたが、以前受講された方も「受講して本当によかった」「組織の場作りに活かせた」と言ってくださっていました。

では、まずは「ファシリテーション」のポイントについてお伺いしてもよろしいでしょうか。

荒木:まず「ファシリテーター」は、全員にまんべんなく話を聞いたり、重要な人のケアをしたりといった「司会進行役」の側面もあるのですが、それ以上に対話の中から新しい学びを生み出していくことが大事だと思っています。学びの形成にはいくつかフェーズがあるのですが、フェーズ1の「前提の整理」、共感や聞く姿勢をちゃんと示すフェーズ2の「ラポール形成」がとても大事です。このフェーズ1・2をちゃんとやった上で、学びを探索していくイメージです。

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久保:確かに自分の話に興味を持ってくれたり、前のめりに聞いてくれたりするとすごく嬉しいですよね。でも、参加者の方の中には、まさにそのラポール形成が難しいとおっしゃっている方もいます。

荒木:そうですね。ラポール形成は身体知なので難しいんですよ。ポジティブな表現、ネガティブな表現を上手く調整しつつ、「先が聞きたい」「言っていることを理解している」というサインを色々な形で繰り出していくことによって、ようやく相手は話しても良いなという状態になります。これも講座の中でやっていければと思っています。

意見の裏にある「問い」を見る

久保:相手の話を受け止めているサインは反射的にできるけれども、実は相手の言っていることがよくわかっていない場合が多いとおっしゃっている方もいますね。

荒木:最初の段階では関係性を築くことが何よりも大事なので問題ないですが、それで終わってしまうと中身がない状態になってしまいます。だからゆくゆくは深掘りしていくフェーズが大事になってきます。それをどうやってやるかというと、意見の裏にある問いに注目することが必要なんですね。

例えば「ファシリテーション力はとても重要だと思っています」という意見があったとして、その裏側には「ファシリテーションはあなたにとって重要か?」という問いがあると思います。この時に意見に引っ張られずに、「その問いは意味があるのか?」を考えることがファシリテーターをやる上でとても大事なポイントです。意見を聞きながら、裏側で意見と問いを分離させ、問いの価値を考えることを常にやっているんです。

久保:意見を深掘りするのか、横に展開するのかなどを考えるためにも、1回問いに立ち戻るということなんですね。

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荒木:そうですね。まず先ほどもお話したように、意見は一旦受け止める。そしてその裏側にある問いに注目する。問いが適切でないとしたら、問いを修正する行為を適切なタイミングで行う必要があります。これに関しては言い方も大事で、「その話の前に〜」という言い方をすると角が立ってしまうので、例えば「なるほど、その話面白いですね。さらにこの点についてはどう思いますか?」というようなイメージです。

久保:確かにそう言われるとすごくナチュラルに別の論点に移れますね。

荒木:逆に問いが適切であれば、「その点についてもう少し意見を聞かせてもらえますか?」とさらに意見を深掘りしたり、複数の人がいる場合は問いをキープしながら他の意見を求めたりすることも大事ですね。もしかしたら、「実は私はファシリテーションはあまり大事だと思っていません」という意見が出てくるかもしれない。そうしたらまたその意見を受け止めて、問いがずれていないか注目して、ということを裏側でやっていきます。

あともう1つファシリテーションのスキルとして重要なのが「問いの抽象度を高める」ことです。講座でもやっていきますが、このスキルがないと普段の対話にも苦しみますね。話が上手く続かない、雑談ができない人の基本的な症状はここにあると思っています。

例えば、犬・猫・ロボットとあった時に、「動くものですね」「目があるものですね」などで括れるかどうかで、話の盛り上がり方が変わると思います。

久保:荒木さんが普段色々な方のお話を聞いた上で、聞いている私たちにフィット感のある言葉で伝えてくださるのは、ここを見極めているんですね。

荒木:共通項が見出せていれば、一見バラバラな意見が出てきた時でも、「私たちは“動くもの”という共通のことについて議論していたよね」「それって大事なことだよね」という着地に持っていくことができます。
ただ、その抽象度で終わらせずに「動くものが動かなくなった時、私たちに求められることって何だと思いますか?」というように、問いを展開していくこともスキルの1つなので、こちらも講座内でできればと思っています。

ファシリテーションの実践を通して、
対話を楽しめる人になろう

久保:今回の講座では、対話の中で学びを生みだすことを目的としたファシリテーションを4ヶ月間一緒にトレーニングしていきますが、改めて各回のポイントについて教えていただけますでしょうか。

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荒木:DAY1の「受け止め力」については、先ほどもお話した「ラポール形成」ですね。インターバル期間中にも皆さんの仕事や生活の中で実際にやってもらいたいと思っています。DAY2は相手が言ったことを抽象化してまとめることをやってもらい、DAY3は意見と問いを分けて、問いをどうやってコントロールしていくかといった内容ですね。そして最後は、本という共通の話題がある中でファシリテーションをやってもらう実践の機会も設けています。理論を本当に体に染み込ませていくには、インターバル期間も使って4ヶ月間実践していくことがやはり大事だと思います。

久保:そうですね。そして講座では「受け止め力」「言い換え力」といった形で少しずつ理論と実践を繰り返していけるのが良いですね。

荒木:ファシリテーション未経験でももちろん歓迎ですし、むしろ経験している人ってそんなに多くないんじゃないかと思います。今回やりたいのはファシリテーションというよりは「対話」です。対話未経験の人っておそらくいないですよね。

久保:そうですね。例えばチームのメンバーと1on1するのも「対話」ですよね。メンバーの話の中から、「これはすごいね」「先月言っていたことと変わったね」と学びを引き出すことができたら、すごく対話の価値が上がりますよね。

ファシリテーションのスキルがあってその場の価値を上げることができる、場づくりができる人は色々なところで活躍されると思いますし、多くの人にスキルを身につけてほしいですね。

荒木ファシリテーションの根幹はやっぱり対話で、相手とどう向き合うかが大事なんですね。だから皆さんとそのコアの部分を共有して、対話を楽しめる人になってほしいなと思っています。会議や打ち合わせなどに限った話ではなくて、普段の何気ない話の中から新しいことを見つけた、というような面白い対話ができる人が1人でも増えてくれればいいなと思っております。

▼セミナー全編はこちらから💁
https://youtu.be/NRha2J2L5FA  

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※募集〆切:8/25(日)


荒木博行(あらき ひろゆき)
株式会社学びデザイン代表取締役

住友商事、グロービス(経営大学院副研究科長)を経て、株式会社学びデザインを設立。フライヤーなどスタートアップのアドバイザーとして関わる他、武蔵野大学、金沢工業大学大学院、グロービス経営大学院などで教員活動も行う。北海道にある株式会社COASや一般社団法人うらほろ樂舎にも関わり、学びの事業化を通じた地方創生にも関与する。

著書に『独学の地図』(東洋経済新報社)、『自分の頭で考える読書』(日本実業出版社)、『藁を手に旅に出よう』(文藝春秋)、『見るだけでわかる! ビジネス書図鑑』、シリーズ(ディスカヴァー・トゥウェンティワン)、『世界「倒産」図鑑』『世界「失敗」製品図鑑』など多数。
Voicy「荒木博行のbook cafe」、Podcast「超相対性理論」のパーソナリティ。


久保彩(くぼ あや)
株式会社フライヤー  執行役員CCO(Chief Customer Officer) 
カスタマーエンゲージメントDiv ゼネラルマネジャー

大学卒業後、大手メーカーにてシステム開発の企画・開発・PJマネジメントに携わる。その後、総合系コンサルティング・ファームで大手企業の新規事業/新規サービスの企画・立上・展開を担いながらMBAを取得。2020年よりフライヤーの新規事業担当 執行役員に就任。読書の新しい価値を追求するコミュニティflier book labo、本から深く学ぶflier book camp企画運営責任者。
2023年1月よりカスタマーサクセス責任者兼務。
2024年3月よりCCO就任。


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