【OSIRO社のコミュニティ献本企画に参加し、献本を受けて投稿しています】
平野啓一郎さんの最新刊、『文学は何の役に立つのか?』をひと足早く拝読する機会をいただきました。
◆「文学は何の役に立つのか?」
タイトルに出会った瞬間、私は、”そもそも「役に立つ」とは何か?”という根源的な問いに引き込まれた。
日常で使うその言葉が、現代社会のコスト管理やリスク管理の視線と結びつき、私たちの感受性から遠ざかっているようにも感じた。
◆ 私にとっての「役に立つ」とは?
それを「存在や行為が誰かの生活、思索や感受性を豊かにすること」と定義してみた。
すると、「価値がある」との境界が曖昧になり、やがて “役に立つ=価値がある” 、ほぼ同義という氣づきに収束していった。
その思考の途上では、私は次のような四象限で整理してみた:
①「役に立つ・価値がある」
②「役に立たない・価値がある」
③「役に立つ・価値がない」
④「役に立たない・価値がない」
③④は、自分の思い込みとして“存在する”と感じていること、そして価値や役立ちが社会的ラベルによって刷り込まれている可能性に氣づかされた。
◆ さらに「何の役に立つのか?」という問い
この問いは、〈ある/ない〉ではなく、〈誰に/どのように〉という“関係性の地図”をひらく言葉として立ち上がってくる。
本書には、平野さんがこれまで様々な媒体に寄稿されてきた文学・文豪・作品への想いが一冊に丁寧に収録されていて、これらの問いを携えながら読み進めてみると、そのたびに応答するものを感じられる。
文学は、登場人物と読者の対話、人物同士の関係性に命が宿るもの。
その関係性は、読者自身の新たな自己認識へと繋がり、自分では見えなかった輪郭をそっと立ち上げてくれる。
そして今、『文学は“人間であること”に役立つ』と感じている。
📚読んでいくと、自分自身への問いがやさしく姿を変えていく──そんな体験をしてみたい方にぜひおすすめしたい一冊。
あなた自身の「役に立つ」とは何か、見つめ直す旅がここからはじまるのかもしれません。
https://www.amazon.co.jp/dp/4000617079
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2025/07/21 14:47