必要な7つの考え方と3種のフレームワーク
ビジネスを進めていく上でロジカルシンキング(論理的思考)は必須のスキルです。しかし、社会人になるまであまり意識していなかった方や、知ってはいても使いこなせない方は多いのではないでしょうか。
論理的思考はあくまで”スキル”であり、習得することが可能です。そのために正しい考え方を知り、そして実践の中で定着させる必要があります。
今回の記事では、思考をロジカルに変えるための考え方と、実際の習得方法をお話しします。
❏ あなたの思考をロジカルに変える7つの着眼点
ロジカルシンキング(論理的思考)とは、「難しい事象を、分解し整理することで簡単にしていく」考え方のことです。
以下の7つのポイントを意識することで身に着けることができます。
1.筋道をたてて、論理を展開する
論理とは「話の筋道が通っていること」です。また、筋道に妥当性がなければ周囲に話が伝わらず、物事を進めることが難しくなります。
2.短く、シンプルに論理を展開する
論理を展開する上で、不要な情報は削り、なるべく短く考えるクセをつけることが大切です。
3.目的を意識して、論理を展開する
思考が混乱する時、目的から逸れている場合があります。そもそも何のために考えていたのか、一度立ち返ることで話の筋道が見えるかもしれません。
4.MECEを意識する
MECEとは「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略称で、モレなくダブりなく物事を検討する考え方のことです。ビジネスでは、ほとんどの場合でリソースが限られており、その場で考えうる最も効果的な解決策を選択する必要があります。その際に網羅的に要素を洗い出すことができなければ、効果的でない選択を行う可能性が高まります。
MECEを念頭に置きながら、網羅的に考えることを意識しましょう。
5.結論から述べる
伝えたい結論を先に伝えると、自然と論理的な思考ができる場合が多いです。また、ビジネスでは時間が限られているため、結論から話すことで時間を短縮して相手に意見を伝えることができます。「何が言いたいのか?」を一言で最初に話し、そのあとに結論を裏付ける理由を話すことがおすすめです。
6.具体と抽象を意識する
話が中々伝わらないとき、特定の意見(具体)に縛られてる可能性があります。一段上の意見(抽象)を意識することで、思考を整理できます。
7.主張と根拠の骨格を作る
伝えたいこと(主張)に、なぜそれが言えるのか(根拠)を加えることで相手への納得度を上げることができます。主張と根拠は1セットで伝えること意識しましょう。
主張:「私は〇〇だと思う」
根拠:「なぜならば~」
❏ 今すぐ使えるロジカルシンキングのフレームワーク
ロジカルシンキングには、代表的なフレームワーク(型)があります。フレームワークを覚えることで、素早く論理を展開することが可能です。
以下で、代表的な3つの型を紹介します。
型1:ピラミッドストラクチャー
ピラミッドストラクチャとは、いくつかの根拠から伝えたい結論を導く手法です。主に主張に対して裏付けをしたいときに用います。
ピラミッドの頂点に結論を配置し、その下層部に根拠を置きます。「なぜそれが言えるのか」を伝えることができれば、周囲も結論に対して納得しやすくなります。
型2:ロジックツリー(3種類)
ロジックツリーとは、解決したい課題やテーマを構成要素へと分解し、ツリー上に示す方法です。これにより、問題解決の方法を洗い出しやすくなります。
ピラミッドストラクチャーとは思考の方向性が違い、ツリーの上から下へと分解していきます。ロジックツリーでは、主に3つの目的に適用されることが多いです。
①要素の分解
②原因の究明
③問題(イシュー)の解決
①要素分解ツリー
要素分解ツリーとは、「課題」を要素分解し、物事を整理していく使い方のことを指します。数式が明確な場合や、カテゴリ分けしやすい課題に対して効果を発揮します。
②原因究明ツリー
原因追及ツリーとは、設定した問題に対して原因を分解し、列挙する使い方のことを指します。要素分解ツリーと同じく「なぜその課題が発生しているか」について突き詰めるツリーですが、要素分解ツリーは課題の構成要素だったのに対し、原因究明ツリーは課題の原因を分解していくツリーです。
漠然とした課題に対して効果を発揮します。
③問題(イシュー)解決ツリー
問題解決ツリーとは、解決したい問題に対して該当する解決策を列挙していく使い方です。課題の分解や原因の追求ではなく、具体的な施策を洗い出す手法となります。
要素ツリーや原因究明ツリーは「なぜ課題が発生したのか」を考える手法ですが、問題解決ツリーは「どうやって課題を解決」するかに特化して考えたいときにおすすめです。
3つのツリーとも似ていますが、目的に応じて使い分ける必要があります。
型3:演繹法と帰納法
思考の方向には、1つの基準や事実をもとに具体的な事象を導く「演繹法」と、具体的ないくつかの情報から共通点を導き出し1つの結論を出す「帰納法」の2つがあります。
演繹法は、元になる基準やルールが確固たるものであればあるほど論理展開がしやすくなります。例えば、「カフェインを摂取すると目が覚める」という事実を前提とすると、「(カフェインを含んでいるため)コーヒーを摂取すると目が覚める」といった事象を導くことができます。
帰納法は、複数の具体的事象が分かっている場合に有効です。例えば、「コーヒーを飲むと目が覚める」「緑茶を飲むと目が覚める」といった事象が判明している場合、「(コーヒーとお茶に共通しているため)カフェインを摂取すると目が覚める」という結論を導くことができます。
❏ ロジカルシンキングはどう鍛える?おすすめ手法を紹介
論理的思考は考え方を知るだけでは身につかず、継続的なインプットとアウトプットの両輪を回していく必要があります。
本や要約を読んでインプット
論理的思考は様々な事象に適用することで、スキルとして力を発揮します。本やその要約を通して適用事例を知っておくことで、さらに理解が深まることとなります。
そこで、おすすめの本を3つご紹介します。
▸ イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」
問題(イシュー)自体の見極め方を説いた一冊。ビジネスでは様々な解決すべき問題が発生しますが、すべて解決しようとするとリソースが足らなくなります。本書を読むことで、問題自体が「解く価値があるかどうか」を見極め、生産性を向上させる力が身につけることができます。
https://www.flierinc.com/summary/18
▸ ロジカル・シンキング 論理的な思考と構成のスキル
マッキンゼーで培われた、論理的にメッセージを伝えるためのポイントが凝縮されている一冊。難易度は高いですが、実践に即した例題や応用問題が多数掲載されており、ロジカルシンキングを鍛えるには最適の一冊です。
https://www.flierinc.com/summary/814
▸ 「具体⇄抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問
論理的思考とは妥当性のある筋道を立てる思考のことですが、そのためには抽象的な事柄から具体的な事象を導いたり、具体的な事象から抽象化して物事の真理を突き詰めていく必要があります。本書は、具体と抽象を行き来するトレーニングに特化した一冊です。演習問題を通して思考力を鍛えることができます。
https://www.flierinc.com/summary/2542
仕事や研修で実践してアウトプット
インプットのみでなく、アウトプットをすることで論理的思考を身につけることができます。本や記事に書かれていない問題が、日々の業務の中では勃発します。学んだことを適用しながら、実際の仕事の中でロジカルシンキングを磨いていきましょう。
❏ まとめ
論理的思考は、なるべく早い段階で身につけた方が仕事において成果を出しやすくなります。
どんな職業・職種であっても必要となるスキルですので、ぜひ鍛えてみてください。正しい知識をインプットしながら、日々の業務でアウトプットすることが一番の近道です。
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業務範囲が限られている場合など、日々の仕事だけでは中々論理的思考を身につけることが難しい方もいらっしゃるかと思います。
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