フライヤーが主催するオンラインコミュニティflier book laboでは、さまざまな会員限定サービスを提供しています。その魅力をちょっとだけ体験していただける無料のランチタイムセッションが、2024年6月18日に開催されました。

ゲストスピーカーは、オンライン講座「flier book camp」で講師を務めてくださる梅田悟司さんです。梅田悟司さんが7月より担当する講座は、題して「話している言葉から伝えたいことを掴む力―誰かのために言語化を活かす― 」。

今回のセッションでは、株式会社フライヤーで「flier book camp」企画運営を担当する久保彩のファシリテーションで、プログラムの内容を先取りしてご紹介いただきました!


【スピーカー】

コピーライター/武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 教授     梅田悟司 氏
株式会社フライヤー 執行役員CCO    久保彩 氏

「自分の思いを言葉にする」
そんな、最も基本的なことが最も難しい。

久保彩氏(以下、久保)
本日のイベントは「コピーライターから学ぶ 誰かのために言語化を活かす方法」というテーマですが、ご参加いただいた方の参加理由を拝見すると、「自分の思いを上手く言葉にすることができない」「相手とのコミュニケーションですれ違ったことがある」などおっしゃっている方が多いようです。

梅田悟司氏(以下、梅田)
対自分、対相手、対組織と至るところに言葉の大切さと難しさがありますよね。最初に今回この講座をやることになった理由についてお話したいのですが、僕はやっぱり「自分の思いを言葉にする」という“最も基本的なことが最も難しい”というのが真実だと思っているんです。誰かに自分の思っていることを伝えるというのは皆さん普段からやっていると思うんですが、できているのに何だかしっくり来ない時ってありますよね。ここを改めてもう1回見直してみるということをやりたいと考えています。

皆さんの参加理由にもありましたが、自分の気持ちを表現して、それが相手にずれて伝わっていたら困りますよね。仕事、家庭、コミュニティなど様々な場で言語化の重要性は高まってきていると思います。

久保:今回の講座のテーマは、その中でも自分の気持ちの言語化ではなくて、自分ではない誰かの言語化を助けてみようというものなんですね。

梅田:そうですね。大体世の中に出ている書籍やセミナーって「自分の中にある思いを言葉にしよう」というテーマなんです。でも、本当に自分だけでいいんだっけ?一歩抜け出してみようよ、ということですね。今自分の目の前にいる相手に向き合ってみて、思っているけど伝えきれていないことを少し助けてあげる、ということは結構重要なんじゃないかなと思っています。

久保:自分のことも上手く言葉にできていないのに、誰かを助けることに挑戦していいんだろうか、と皆さん思われるかもしれません。

梅田:もちろん、まず自分の言語化にチャレンジすることは重要です。ただ、一人でできるほど簡単なことではなかったりするんです。「自分のことは全くわからないけど、他人のことだったら客観的に見られてわかる」ことってあるじゃないですか。誰かの言語化を助けてあげることで、こうやったら言語化が進むんだという実感が持てるんですね。それが最終的に自分にフィードバックされると思います。

久保:なるほど、ありがとうございます。前に進めそうです。

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梅田:自分もそうなんですけど、相手が話している言葉と本当に伝えたいことってずれていることが多いんです。言葉を額面通りに受け止めたら、「そんなつもりで言ったわけじゃないのに…」とか言われることってありますよね。でもこれって誰も悪くないし、お互い様なんですよ。
その前提を持ちながらも、どうやったら相手が話していることと伝えたいことを近づけられるのか、話者としてお助けできるのか、というポイントについて具体的なお話を今回の講座でできればいいなと思っています。

久保:聞き手ではなく、“話者”なんですか?

梅田:そうですね。聞き手というと完全にインタビューのような形になるじゃないですか。インタビューをしている人、されている人という形ではなく、会話の中でのやり取りなので、あくまでも“話者”という言葉を使っています。

困った時や、話が戻る着地点に相手の本音がある

梅田:僕が普段やっているコピーライティングの仕事って、相手のメッセージをつくることなんです。いつも90分ほどのお時間をいただくんですが、宿題として持って帰ることはせずに、90分の中でコピーを考えきります。最初はとにかく話してもらう。そして、後半の15分で質問をしながら話を深めていくと、言葉が完成されているというやり方です。

それをどうやるのか。なぜ90分の中で相手が話したいけど話せていないことに辿り着けるのか、という話をできればと思います。まず1つ目は、入り口を変えることです。いつも話さない入り口を提示することで、困りながら話してもらうんです。

久保:困りながら…どういうことでしょうか?

梅田:例えば企業の経営者の方とかって、色々な場で話しているので、話し慣れているんです。そうすると、いつも自分が話しやすい方法で話すことになってしまう。すると、わかりやすさや話しやすさが優先されるため、大事なことが抜け落ちたりするんです。「こんなこと言っても伝わらないだろうな」という、本当に伝えたいことですね。だからこそ、いつも話しているのとは違う入り口、例えば「最近新入社員の人たちにどういう話をしましたか?」とかから聞き始めるんです。

久保:なるほど。入り口を変えてみると、同じ話でも話し方をかなり変えないといけないですよね。

梅田:そうなんです。入り口を変えてあげることによって「話しづらさ」が生まれるんですね。そうすると、いつもは話さないことが紛れ込んでくるんです。面接とかも同じで、すごく準備してきたのに全く違う問いかけから始まると困りますよね。困った時って本音が出るので、その本音をいかに見ようとするかがポイントです。

久保:相手を助けると言いながら、一旦困らせるんですね。

梅田:そして、2点目に重要なことは議事録をとることです。全く新しい観点から話をしてもらったことを聞き逃さないための方法です。肯定的に聞く、良い相槌を打つといったアクティブリスニングの究極系が議事録だと僕は思っています。
これには副次的な効果もあって、大体皆さん60分位お話いただくと、話が戻るんですね。ぐるぐるしてくる。「この話ってさっきもしてたな……、なんて言ってたかな」ということに議事録をとっていると気づけるし、振り返ることができるようになるんです。話が戻る着地点に、本当にその人が言いたいことが詰まっている可能性があると思っています。僕はこれを大江戸線理論と呼んでいます。

久保:大江戸線理論、面白いですね。

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梅田:人の話って、どこかの入り口から入って、ぐるぐるして同じ地点に帰ってくる。大江戸線で言うと都庁前の部分ですね。そこの話を詳しく聞いてみるとか、「最初はこういう言葉を使っていましたが、2回目はこういう言葉に変わりましたよね。それってどういう違いがあるんですか?」と聞いてみる。すると、その人自身も「確かにこういう意味があったかもしれない」というようにはっと気づくことがあるんですね。

久保:議事録をとっていると、ちょっとしたニュアンスの違いもわかるんですね。

梅田:そうですね。都庁前の部分、本当にその人が言いたいことを見つけてあげて、話の中で掴みにいくことが重要だと思います。

相手の言語化を助けるだけでなく、
自分が助けられる経験も

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久保:今回、梅田さんに4ヶ月間講座をお願いするわけなんですが、今日お話いただいた内容としてはDAY1〜4のどのあたりになるんでしょうか。

梅田:DAY2、DAY3あたりですね。具体的な問いかけなどを実際にやってみてもらおうと思っています。そして、授業とは別の時間に僕と1on1をすることを予定しています。各受講生にテーマを決めてもらって、本当に話したいことは何かを一緒に探っていく。まさに都庁前の部分を見つけて言葉にできるか、ということができればと思っています。

久保:自分が他人の言語化を助ける方法論を学ぶと同時に、自分が普段から考えていることの言語化を梅田さんが手伝ってくれるのを体感できるということですよね。

実はこの講座を企画する時に、梅田さんにリクエストさせていただいたんです。方法論を学んで、受講生同士での実践というのもすごく良いんですが、結局最後は梅田さんってどうやってやってるんだろう、というところに戻ってくるんじゃないかと。梅田さんのやり方を自分が体感することですごく腹落ちできたりするので、何とか入れられませんかってご相談させていただきました。

梅田:僕一人ができることって本当に限られていると思っていて。例えば今回の受講生が最大で35人だとしたら、その35人がまた他の人の言語化を支援してくれたらすごく良いなと思うんですよね。ちゃんと話を聞いてもらった、言語化を助けてあげられた、という気持ちって連鎖していくものなので。

久保:そうですね。色々なところに言葉で誰かを助けたいと思っている方がいらっしゃると思うので、輪が広がっていくと良いですよね。では最後に、今回の講座を受講される方や、受講を迷われている方に対して一言いただければと思います。

梅田:ありがとうございます。やっぱり言葉って、当たり前に使っているが故に難しい部分があるんですよね。20年位言葉のことしか考えてこなかった僕だからこそ、生み出せたことや気づけたことを皆さんに共有しながら、言葉への苦手意識のようなものが解消されていくお手伝いができると良いなと思っています。ぜひ皆さんで楽しみましょう。


▼セミナー全編はこちらから💁
https://youtu.be/UgT4jfuBXVY 

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※大変恐れ入りますが、満席のため募集を締め切らせていただいております。

梅田悟司(うめだ さとし)
コピーライター
武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 教授

1979年生まれ。大学院在学中にレコード会社を起業後、電通入社。マーケティングプランナーを経て、コピーライターに。2018年にベンチャーキャピタル(VC)であるインクルージョン・ジャパン株式会社に加入し、ベンチャー支援を行う。2022年より現職。
ジョージア「世界は誰かの仕事でできている。」、タウンワーク「バイトするなら、タウンワーク。」、Surface「すべての、あなたに、ちょうどいい。」のコピーライティングや、TBSテレビ「日曜劇場」のコミュニケーション統括などを担当。VCにおけるベンチャー支援の経験から、事業会社のみならず、ベンチャー企業のコミュニケーション戦略を立案する。
著書に、シリーズ累計35万部を超える『「言葉にできる」は武器になる。』『きみの人生に作戦名を。』(日本経済新聞出版社)、『やってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。』(サンマーク出版)など。


久保彩(くぼ あや)
株式会社フライヤー  執行役員CCO(Chief Customer Officer) 
カスタマーエンゲージメントDiv ゼネラルマネジャー

大学卒業後、大手メーカーにてシステム開発の企画・開発・PJマネジメントに携わる。その後、総合系コンサルティング・ファームで大手企業の新規事業/新規サービスの企画・立上・展開を担いながらMBAを取得。2020年よりフライヤーの新規事業担当 執行役員に就任。読書の新しい価値を追求するコミュニティflier book labo、本から深く学ぶflier book camp企画運営責任者。
2023年1月よりカスタマーサクセス責任者兼務。
2024年3月よりCCO就任。


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