リーダーや管理職クラスに必須となるマネジメント能力ですが、「マネジメント能力がどういったものか」について、具体的に説明ができる方は少ないのではないでしょうか。
 

 

    また、「理解はしているけれどうまく実践できない」「マネジメント業務で悩みが多い」といった方もいらっしゃると思います。 

 

    今回は「マネジメントとは何か」「どういったスキルや立ち回りが必要か」についてお話します。

  

❏ マネジメント能力とは 

そもそもマネジメント能力とは?  


    ビジネスにおいてのマネジメント能力は、経営や組織運用に必要な資源を管理する能力を指し、リーダーやマネージャーなどの管理クラスに求められる能力です。

「資源」には、金銭や物資といったモノだけではなく、人材やそれに伴う能力値・労働時間などの、ヒトにかかわるものも含まれます。

    すなわち、モノ・ヒト・時間といった全ての資源を管理し、目的遂行のために最大限活用する力がマネジメント能力です。
 

リーダーシップとは異なる能力

 
    マネジメント能力とセットで求められる「リーダーシップ」ですが、マネジメント能力とは似て非なるものです。

    マネジメント能力が「モノとヒトの全般を管理する能力」なのに対し、リーダーシップは「メンバーを牽引し指揮を執る力」「ヒトを統率する力」を指します。

    部下やメンバーの力を最大限に活かすためにはどちらも等しく必要不可欠な能力で、管理者には両方を兼ね備えることが求められます。


 
❏ マネジメント能力を構成する4つのスキル

    では、マネジメント能力を構成する具体的なスキルとはなんでしょうか?要素は大まかに4つにわけられます。
 

①目標を設定し、推進するスキル

 
    マネジメントは、チームと各メンバーに適切な目標を見極め設定することから始まります。

    低すぎる目標では意味がありませんが、あまりにも無謀な目標を掲げても、達成困難なのが目に見えてしまいメンバーの士気が上がりません。

    チーム全体と個々人の能力値、達成しなければならない数字やミッション。これらをしっかりと見定め、適切な目標を設定するのがマネージャーの役割です。

    さらに、目標に向かっての業務推進・進捗管理も管理者の大事な仕事です。

    メンバーによっては、細かく指示をした方がうまくいく人もいれば、一定の裁量を与えて自由に動いてもらう方がうまくいく人もいますので、各々が最大限にパフォーマンスを発揮できる方法を見極め、滞りなく業務を推進するスキルが必須です
 

②意思決定スキル

 
    複数の人間が集まって業務を行う以上、ときにはメンバー間で意見が分かれる場面もあります。複数の選択肢を前にしたとき、最終的にどれを採択するかを決めるのは、マネジメントを行うリーダーの役割です。

    その際に重要なのが、ただ意思決定を行うだけでなく、なぜそれを選んだのかをきちんと伝え、チームとしての方向性を示してあげることです。

    ただ決めるだけではなく、メンバーが納得し「リーダーの決定を信じれば安心だ」と思えるように導くことこそが意思決定スキルと言えます。
 

③コミュニケーションスキル

 
    メンバーの持つ能力を最大限に引き出すためには、実力を発揮しやすい、かつ働きやすい環境が必要です。その環境作りのために大切なのが、メンバーとの日頃からの密なコミュニケーションです。

    ただ会話を行うだけでなく、会話の中からメンバーの得手不得手や悩みを引き出し、スキルや業務効率向上のヒントを見つける能力が、マネジメントにおけるコミュニケーションスキルです。
 

④人を育てるスキル

 
    個々人に適した育成を行うためには、メンバーの性格や傾向・不足している能力などを把握しなければなりません。そのため、日々のコミュニケーションと人材育成はセットと言っても過言ではありません。

    育成や指導は、互いに信頼し合っているという土台の上で成り立ちますので、メンバーとしっかりと信頼関係を築き、適切な人材育成を行うことが必須となります。


 
❏ 優秀な人ほど陥ってしまう、マネジメントの悩み

    マネジメントを知識としては理解していても、実践になるとうまく立ち回れない…といった悩みは少なくありません。管理職クラスが頭を痛める、陥りがちな失敗と悩みについてもお話していきます。
 

①リーダーシップが発揮できない

 
    自分の頭の中には明確な目標設計や推進ビジョンがあるのに、メンバーにそれが伝わらず、なかなか思い通りに進まないことはありませんか?

原因の一つとして、プレイヤーとして優秀な人ほど、自身のやり方や意図を伝えるのが苦手な傾向にあることが挙げられます。

    自分の中では感覚として理解できているので、メンバーが「なぜわからないかが、わからない」というケースに陥りがちなのです。自分の能力を基準にせず、メンバーそれぞれの能力を基準に、メンバーに合ったレベルで意図を伝えていくようにしましょう。

    きちんと意図を理解してもらえるようになれば、おのずとメンバーはリーダーについてきてくれます。
 

②多様なメンバーのモチベーション管理

 
    同じチームだからといっても、当然ながらメンバーの思考や性格は違います。

    例えば「頑張れ」と言われてやる気が出る人もいれば、それが負担になってしまう人もいます。逆に「頑張りすぎないように」と言われて励まされる人もいれば、期待をされていないと物足りなさを感じる人もいます。

    画一的なマネジメントでは、メンバーの士気は上がりません。メンバーをよく観察し、どういう指示を出せばモチベーションが上がるかを熟慮することが肝心です

    さらに突き詰めれば、メンバーのモチベーションが低くても結果を出すことが真のマネジメントといえます。メンバーのモチベーションが追いついていない状態でも目標が達成できるよう、論理的な作戦を立てて目標計画をサポートしてあげましょう。


 
❏ マネジメント能力を向上させるには?

    マネジメント能力は、知識よりも経験と積み重ねです。一朝一夕でどうにかなるものではありませんので、日々の習慣の中でインプットとアウトプットを積み上げ、トライ&エラーを繰り返しましょう。

 

    その中でも特に注目すべきが「自己理解」と「コミュニケーション経験」です。
 

①自己理解を深める

 
    ディズニー・ストラテジーをご存知でしょうか。これは、かのウォルト・ディズニーがなぜビジネス的な大成功を収められたかを、体系的に紐解いた理論です。

    ディズニー・ストラテジーの中では、以下の3つの視点のうち、どれが欠けてもビジネスはうまくいかないとされています。

 

1.    「夢想家」の視点    現実的には不可能と思えるような夢や目標を思い描く

2.    「現実家」の視点    夢を実現させるためにはどうすべきかを考察し、戦略を練る

3.    「批評家」の視点    戦略を客観的に分析し、夢をより現実的な構想に近づけていく

 

    これは視点の重要性はマネジメントでも同じで、組織の問題を分析し解決力を高めるに、管理者がこの3つの視点を持つことが推奨されます。

    自分はどの視点に強みがあるのか、そして足りない視点はどれか。他者の指導や分析を行うためにも、まずは自分自身のことをよく知っておきましょう。日頃から内省し自己理解を深めることが、ひいてはマネジメント能力向上に繋がります。

 

②多くのコミュニケーション機会を作る

 
    コミュニケーション能力は、マネジメント能力の土台です。

    コミュニケーション能力を上げるためには、質の高いコミュニティに入り、社内外の様々な人たちとの社交の場を経験するのが有効です。

    多種多様な人たちとより多く接し、コミュニケーションの幅を広げるよう努めてください。







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    書籍を通じてインプットを行い、要約したものをメンバーと議論することで学びや新しい視点を得ることができます。書籍が好きな方はもちろん、コミュニケーション能力を身に付けたい方はぜひ「flier book labo」への加入をご検討ください。